大阪・難波の個室ビデオ店火災

2008年10月1日午前2時55分ごろ、大阪市浪速区の雑居ビル1階の個室ビデオ店「試写室キャッツなんば店」から出火、約37平方メートルを焼失し午前8時18分ごろ鎮火。男性客15人が一酸化炭素中毒や気道熱傷などで死亡、上層階の住民らを含む10人(男性9人、女性1人)が病院に搬送された。大阪府警浪速署捜査本部は1日、火元の個室を使用していた46歳男(無職)を殺人、殺人未遂、現住建造物等放火の容疑で逮捕した。
同年10月14日、意識不明で入院中の男性が死亡し事件の犠牲者は16人になった。

カラオケボックス等の防火安全対策強化

平成19年1月に発生した兵庫県宝塚市のカラオケボックス火災、平成20年10月に発生した大阪市浪速区の個室ビデオ店火災をうけて消防法が改正され、個室ビデオ店、カラオケボックスなどの施設に対して「自動火災報知設備」「通路誘導灯」などの設置基準が強化されました。

法令改正概要

平成19年1月20日 兵庫県宝塚市カラオケボックス火災
(死者3名/負傷者5名)
※カラオケボックス等に対して、延床面積に関係なく自動火災報知設備の設置が義務付けられた。
平成20年10月1日 大阪市浪速区個室ビデオ店火災
(死者15名/負傷者10名)
※自動火災報知設備の機能の一部強化及び火災時に速やかに避難できる経路の確保が義務付けられた。

対象施設

カラオケボックスなどの遊興施設(カラオケボックス テレフォンクラブ 個室ビデオ インターネットカフェ)

■消防法施行令別表第1 (2)項ニ(※1)カラオケボックスその他遊興のための設備又は物品を個室(これに類する施設を含む。)において、客に利用させる役務を提供する業務を営む店舗で総務省令で定める(※2)もの

※1(16)項、(16の2)項、(16の3)項に掲げる防火対象物のうち、カラオケボックスなど遊興施設の店舗を有する施設を含む。

※2総務省で定めるものとは(総務省令第78号:平成20年7日2日より)

  1. 個室(これに類する施設を含む。)において、インターネットを利用させ、又は漫画を閲覧させる役務を提供する業務を営む店舗
  2. 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和二十三年法律第百二十二号)第二条第九項に規定する店舗型電話異性紹介営業を営む店舗
  3. 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行令(昭和五十九年政令第三百十九号)第二条第一号に規定する興行場(客の性的好奇心をそそるため衣服を脱いだ人の映像を見せる興行の用に供するものに限る。)

主な改正点

カラオケボックスや個室ビデオ店等は一般的に狭い廊下構造などから火災による煙・熱が内部で急激に滞留しやすく、またヘッドホンの使用、宿泊所代わりの利用形態から利用客が火災に気付きづらく逃げ遅れによる人命危険性が大きいことを考慮し、自動火災報知設備の機能の一部強化と、火災時に速やかに避難できる経路作りが求められました。具体的な内容は以下の4つです。

(1) 各個室※1内の感知器は煙感知器とする。既に熱感知器が設置されている場合であっても煙感知器への交換が必要となります。
(2) 火災受信機は再鳴動機能※1付きとする
既存建物で再鳴動機能の備わっていない火災受信機が設置されている場合は再鳴動機能付き受信機への交換が必要となります。
(3) 地区音響装置及び非常警報の警報音が各個室内で聞き取れるように措置する
・従前からの「カラオケボックス等の音響が聞き取りにくい場所」(平成20年政令第215号)に加えて、ヘッドホン等を用いたサービス提供中の個室等も今回の改正省令で対象となりました。
・具体的な方法として地区音響装置の各個室※2 への設置やカットリレー等による警報音以外の音響の停止があります。
(4) 通路誘導灯を廊下及び通路の床面又はその直近の避難上有効な場所に設ける。
既存建物で既に廊下や通路の壁面(比較的高い位置)に通路誘導灯が設置されている場合には、「高輝度蓄光式誘導標識」を床面かその直近に追加して設置すればよいとされています。

※1:「再鳴動機能」とは、地区音響装置(非常ベル)停止操作後に一定時間(約2~10分)をおいて火災が復旧していない場合、自動的に再鳴動する機能です。本機能は平成9年の消防法施行規則の改正により受信機に設けられた機能です。
※2:「個室」とは、壁等で完全に区画されたスペースだけではなく、間仕切り等により仕切られた閉鎖的なスペースも含まれます。

改正法令

・消防法施行令の一部を改正する政令(平成20年政令第215号)
・消防法施行規則等の一部を改正する省令(平成21年総務省令第93号)
・誘導灯及び誘導標識の基準の一部を改正する告示(平成21年消防庁告示第21号)
・非常警報設備の基準の一部を改正する件(平成21年消防庁告示第22号)

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